file.2『彼女はその言葉こそが正義だと信じて疑わなかった』



いつかの御伽語りには続きがあって

聖女は其の命の炎果てる間際

最期の力を一振りの大剣に宿し

其の時代の文明を白紙に破壊した。


“まず間違い無くこのままではニンゲンは不幸になる”
少女の思惑はこうだ。

勿論少女の思想は全て彼女にしか聞こえなかった神の声なわけだが

その神も所詮は紛い物でしかなかったわけで。


“いつか平和な時代が訪れたら。桜の国へ往きたいな”
聖女は生前このように言っていた。

紛い神は少女の亡骸を灰にし

自らが祀ってある神木、千年樹に撒き

見事な桜を咲かせた。

そして真っ白となった大地に残った灰を集めて

もう一度聖女を創った。

2005, 5/24

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