file.4『ルールイズオンリーワン』



これは歴史の教科書には載っていないことなのだが。

悠久の昔、二人の悪魔が血闘をした。

片方の悪魔は…みなもよく知っていると想う。

“紅い月の君”、“鮮血の君主”、“永遠の幼月”。


もう一方の悪魔は…私しか知らない。

事の始まりは…いつからだったか。

もともと悪魔は弱く創られたニンゲンと違って

禍々しくも強大な魔力を持ち、ヒトでいうところの3大欲すら自らの意思で支配する。

大抵の悪魔は人間の貴族以上に崇高な魂を持ち

人間の赤子以上に我侭で幼稚で高慢なプライドを持っている。

一個生命体で見れば完璧ともいえる悪魔達は、故に利害の衝突が日常茶飯事なわけであるが

賢い彼等は同族同士で人間がいとも容易く破る愚かな禁忌を犯さない。

して、今回の事の発端は何処に…?

争い、略奪、戦争、死合い、人間はあらゆることに理由を、退屈な理屈をつける。

悪魔は、自らの行為に理屈をつけない。

自らが唯一絶対のルールである、それだけで十分なのだ。

ともすれば今回の件もさほど理屈を求める必要はないのかもしれない

そもそも始めからそんなものは無かったのだ。

2005, 6/13

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